大河ドラマ『光る君へ』の放送が予定されています。
主人公の紫式部は『源氏物語』の作者で有名ですよね。
『源氏物語』は長編小説のため、単行本にすると10巻ほどになるため全部読み上げると随分な労力になります。
今回は『源氏物語』を誰でもわかりやすいように簡潔にまとめて紹介したいと思います。
源氏物語の誕生説明と3つの構成
源氏物語の誕生と説明
源氏物語は平安時代中期に書かれた、世界最古の長編小説です。
源氏物語の作者、紫式部は天皇の后で藤原道長の娘・中宮彰子に仕えた女房(女官や侍女)であり家庭教師でもあります。
紫式部は20代後半で藤原宣孝に嫁ぎましたがわずか3年後に未亡人となります。
その現実を忘れるために書き始めたのが『源氏物語』です。
源氏物語の評判から藤原道長は紫式部を中宮彰子の家庭教師に迎え、宮仕え(宮廷に仕える)た後、藤原道長がスポンサーに付きながら物語が完成しました。
当時は印刷技術がないため紫式部の原本は残っていませんが、現在でも長く読み継がれており、20か国でも翻訳され世界各国に読まれている、日本が誇る小説です。
源氏物語は3部の構成からなる
源氏物語は『桐壺』~『夢浮橋』の全54帖あり、ざっくり3部構成に分かれています。
3部に分けて解説すると、
光源氏の恋愛模様と栄耀栄華の物語。数多くの女性関係が描かれる。
栄耀栄華を極めた源氏に陰りが現れる。後妻・女三の宮が不倫相手の子を出産、最愛の妻・紫の上のこの世の別れ。
源氏が世を去った後の話。女三の宮の不義の子・薫の君の悲恋が描かれる。
源氏物語の主人公・光源氏の生まれる前から亡くなった後の話まで描かれています。
これが源氏物語の人物関係図です。
これを見ただけで気が遠くなるますね。
これから、源氏物語のあらすじを簡単にまとめたいと思います。
源氏物語あらすじ
一部
源氏の母・桐壺の更衣は帝の妃の中でも低い地位にありました。
桐壺の更衣は帝の寵愛を独占しましたが、他の妃の妬みを買い、心労で源氏が3歳の頃に世を去るのです。
愛する桐壺の更衣を失った桐壺帝は落胆に明け暮れますが、前の帝の皇女が桐壺の更衣にそっくりだと評判を聞き、その皇女を新しい妃に迎えました。
彼女は藤壺の女御と言われます。
藤壺は桐壺の更衣に代わり桐壺帝の寵愛を独占、藤壺は桐壺の更衣と違い皇女と高貴な身分なので、誰も逆らえませんでした。
一方桐壺帝の子・源氏はたぐい稀なる美貌に成長し、頭も良く父帝にとても可愛がられました。
源氏はまわりの人たちを虜にし、『光の君』と呼ばれます。
源氏が9歳の頃に藤壺が父の妃になり、彼女と仲良くなるのですが、接していくうちに後に藤壺に対する思いが恋心だと気づくようになるのです。
そして成人した源氏は藤壺と結ばれない関係であるコンプレックスから次々と女性に手を出してきました。
女性関係の多い源氏が出会ったのが、藤壺によく似た姪(当時10歳の少女)と出会います。
その少女は母と育ててくれた祖母を亡くし、孤独の身でしたが、源氏は女の子を将来の妻にしたいと自分の邸に連れていき養育するのです。
そう、彼女こそ源氏の生涯の伴侶となる紫の上です。
そんな源氏の身に危険が起こります。
父・桐壺帝が身罷られ後ろ盾をなくした源氏、次の帝である異母兄・朱雀帝の妃である朧月夜と不倫し、彼女の実家にバレてしまいます。
朧月夜の姉は朱雀帝の母・弘徽殿の太后で源氏のことを桐壺の更衣とともに嫌っていたので、失脚させようと目を付けていました。
これは危ないと感じた源氏は弘徽殿の太后が手を出す前に、自ら須磨の田舎に逃げるのです。
そこで源氏は明石の君と出会い、彼女との間に娘(後の明石の中宮)が生まれました。
源氏にまた開花が訪れます。
父・桐壺帝の霊が源氏を追い出したことに怒り呪いでもかかるように弘徽殿の太后親子または母方の実家にまで危険が及ぶのです。
とうとう病気に耐えれなかった朱雀帝は源氏を京に呼び戻し、藤壺と源氏の子(表は桐壺帝の皇子)を次の帝の位を譲りました。(この朱雀帝、母親に逆らえないだけで源氏のこと大好き。妻・朧月夜との関係も最初から許してる。)
そして、源氏は帝を補佐する太政大臣から準太政天皇へと位に昇り詰め、栄耀栄華を極めました。
二部
一部は源氏の華やかな世界が描かれました。
次からは暗い路線へ変わります。
源氏は女三の宮を正妻に迎え入れます。
女三の宮は兄・朱雀院(前朱雀帝)の娘です。
今まで源氏の正妻同様の立場だった紫の上に陰りが…
先ほどの赤字のオレンジ印は後の話の重要な鍵となります。
源氏の正妻に迎えられた女三の宮が不倫してしまいます。
相手は源氏の親しい友人である頭中将の息子・柏木で、源氏の前妻である葵の上の甥に当たります。
柏木は部屋の御簾(当時はカーテンや仕切りみたいなもの)の隙間から見えた女三の宮に一目惚れしてしまい、彼女の部屋に侵入して男女の関係となります。
源氏は2人の関係や女三の宮の子の実の父親も知ってしまいます。
女三の宮は出産するが、同時に柏木が若くして身罷られます。
そして源氏にはまた悲しい出来事が訪れます。
愛する紫の上を亡くした源氏は、長年考えていた出家を決意するのでした。
ここまでが、源氏の生涯のお話です。
三部
次は、源氏が世を去った後のお話です。
主人公は女三の宮と柏木の不倫でできた子・薫の君です。
薫の君は表では源氏の末っ子で、源氏の孫である匂の宮と並んで、当代きっての貴公子としてもてはやされていました。
自分の出生に悩んでいた薫の君ですが、彼に恋が訪れます。
源氏の弟・八の宮の娘である、大君と中君の美人姉妹!
薫の君は姉の大君に恋をしてしまうのです。
妹の中君は匂の宮の妻となりますが、姉の大君は若くして身罷られます。
大君と結ばれることなく終えてしまった薫の君ですが、亡き大君にそっくりであると噂の彼女の異母妹である、浮舟の存在を知ります。
浮舟を囲うことになった薫の君ですが、浮舟は匂の宮とまで関係を持ってしまうのです。
薫の君と匂の宮との三角関係に苦しんだ浮舟は川に潜り込み、自ら命を絶とうとするが、助かり横川の僧都に拾われました。
そして、人生の苦悩を断ち切りたかった浮舟は決断し、出家してしまいます。
浮舟の生存を知った薫の君は彼女の元を訪れますが、自分は浮舟ではないと言い張り薫の君と別れるのでした。
源氏物語はこれでお終いです。
源氏物語の解説
この長すぎるお話を重要な所だけ抑えてまとめました。
源氏物語は華やかな平安貴族の生活が描かれている一方、ものすごく血生臭い人間関係のお話なのです。
そして、登場人物の癖が強すぎる
主人公の光源氏、自分の妻にしたいからと女の子を誘拐するなんて犯罪じゃないですか。
他にも女を強引に犯したり、恋人の娘にセクハラしたりと源氏の変態ぶりが描かれています。
それにしても、千年以上も昔に人間の闇の部分を描き切った紫式部さん。
あんな長い話を本当に1人で書いたのでしょうか?
だとしたら偉大な天才です。
源氏物語の登場人物
源氏物語のあらすじだけでは物足りないと思うので、光源氏を取り巻く女性にどんな人がいたのかこれから紹介します。
藤壺
源氏の父・桐壺帝の妃。
亡き源氏の母桐壺の更衣に生き写しで、桐壺の更衣に代わり帝の寵愛を受け中宮(皇后に匹敵する位)になる。
源氏に恋い慕われ、関係を持ってしまい彼の子を妊娠してしまう。
生まれた子は後の帝・冷泉帝。
紫の上
源氏の生涯の伴侶となる最愛の妻。
父・兵部卿の宮は藤壺の兄で彼女とは姪の関係にあたる。
源氏と出会ったのはまだ幼い10歳の頃、藤壺に似た彼女に惹かれてしまい、自分の妻に育てるため幼い紫の上を自宅の邸に匿う。
晩年は源氏に出家を願うが許してもらえず、息を引き取る。
葵の上
源氏の最初の正妻。
左大臣家の娘で源氏とは従姉弟関係。
源氏の兄・春宮(後の朱雀帝)の妃になるため、深窓の令嬢として育てられたため、4歳年下の源氏と打ち解けられず冷めた夫婦生活を送る。
源氏との間に息子・夕霧が生まれやっと夫婦仲が良くなるかと思いきや、源氏の愛人・六条の御息所の生霊に祟られ世を去る。
六条の御息所
源氏の恋人。
源氏の叔父・亡き春宮の妃で未亡人、源氏より7歳年上。
美しく気品があり、知性・教養も当代の女性のなかでも抜群の持ち主だがプライドが高く年下の源氏とは間遠になる。
葵祭の見物で源氏の正妻・葵の上の一行に無理やり席を取られてしまい、その屈辱から生霊に化け葵の上を呪ってしまう。
映像作品には嫉妬深い女性のように描かれているが、原作はそんな描写はない。
春宮との間に生まれた娘は後に源氏の養女となり、冷泉帝に嫁ぐ。(後の秋好みの中宮)
空蝉
若き源氏が求愛した1人。
受領・伊世の介の後妻。
小柄で顔は地味だが、控えめで慎み深く、立ち居振る舞いが際立っており趣味の良さが源氏の心を射抜き求愛されるが、拒み続ける。
薄衣を脱ぎ捨てて逃げ去った姿が抜け殻のようで空蝉と呼ばれた。
夫に先立たれ出家した後、源氏と再会し源氏の保護を受けながら余生を送る。
末摘花
亡き常陸宮が残した零落した宮家の姫君。
顔は不器量で滑稽なまでに古風で堅苦しく頑固だが、純粋そのものの一途なご令嬢。
親に先立たれ貧しい暮らしをしていたが、源氏に出会い彼からの経済援助を受ける。
源氏が須磨に旅立った後、また困窮の貧乏生活に戻り叔母からの誘いも断り続けたが、源氏が京に戻った後、空蝉とともに源氏に引き取られる。
夕顔
若き源氏の少しの間だけの恋人で、源氏の友人・頭中将の元愛人。
特別美人ではないが、男心を掴む小悪魔的素質がある。
下級の身分の女性とは思えない教養の高さに惹かれ逢引きを重ねるが女の霊に祟られ息を引き取る。
頭中将との間に生まれた娘・玉鬘は後に源氏の養女となる。
朧月夜
朱雀帝の妃で、源氏とは不倫関係。
源氏とは帝に嫁ぐ前から関係があり、その後も逢引きが続くが実家にバレてしまう。
夫・朱雀帝に責められることはなかったが、姉で姑でもある弘徽殿の太后の怒りを買い、源氏が須磨に流される一因となる。
明石の君
源氏の娘・明石の中宮を生んだ女性、父・明石の入道は源氏の母・桐壺の更衣の従兄妹に当たる。
住吉の神もお導きだからと高官の娘でありながら、明石の田舎でひっそりと育つ。
そこで須磨に流された源氏と出会い、娘をもうけ京に移り住むが娘は紫の上の養女として引き取られる。
紫の上の計らいで帝に嫁ぐ娘の侍女として使えることになり、後々実の親だと知られるが、主従関係は変わらないまま。
女三の宮
源氏の後妻、源氏の兄・朱雀帝の皇女。
母を亡くし、愛娘である彼女を朱雀院(帝から降りたため朱雀帝から改名)は不憫に思い、源氏に引き取ってほしいと頼む。
女三の宮の母は藤壺の妹で、亡き彼女の血縁関係にある女三の宮に興味を持ち、源氏は自分の妻にする。
源氏の後妻となった女三の宮だが、後に柏木と不倫関係になり彼との間に薫の君をもうける。
女三の宮の息子・薫の君は源氏亡き後の物語の主人公。
最後に
源氏物語の登場人物はまだまだいます。
これ以上説明するとキリがないので主な人物を紹介しました。
初心者のかたでもわかりやすければ、光栄です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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